今に思えば、彼ほどの投手を日本で観れた3年間は幸せでした。
それも、贔屓の巨人軍の投手として。
この記事では、マイルズ・マイコラス投手の思い出について振り返ろうと思います。
気持ちの入った熱い記事になると思うのでどうかお付き合いくださいませ(._.)
もくじ
巨人軍入団時は低かったマイコラスの期待値
彼が日本にやってきたのは2015年シーズンのことでした。
『テキサス・レンジャーズでダルビッシュ有と同僚だった現役メジャーリーガーの加入!』
こう聞くと聞こえはいいですが、彼のメジャーでの成績は芳しかったわけではなく・・・
失礼ながら、「1軍で戦力になればいいな」くらいの認識しかありませんでした。
年俸も1億円に満たない額だったため、おそらく球団の認識も似たようなものだったのだと思います。
開幕からローテーション入りを果たしたマイコラス!
この年は内海哲也が出遅れ、菅野智之と杉内俊哉以外は陣ローテーションが不確定でした。
左右の両エース以外は未知数で、不安いっぱいの開幕だったと記憶しています。
オープン戦の好投で開幕ローテを勝ち取ったルーキーの高木勇人(現在は埼玉西武ライオンズ)
前年にFA加入し9勝をあげたFA戦士大竹寛
マイコラスと共にテキサス・レンジャーズから加入した左腕アーロン・ポレダ
そしてマイルズ・マイコラス。
開幕ローテーションは以上の6名でスタートしました。
開幕から2ヶ月間勝星なしのマイコラス
クオリティースタートが出来たり出来なかったりと微妙なピッチングが続いたマイコラス。
同期加入のアーロン・ポレダが自慢の剛腕で評価を高めていただけに、マイコラスの方は余計に微妙に映りました。
先に大竹投手が抹消されるんですが、自分はマイコラスが真っ先に抹消だろうと思っていたくらいでした。
ネットでは、解雇ラスとかウンコラスとか好き放題にディスられ放題・・・
気の毒だったのを覚えています。
ただ、現場の見方は全く違ったようで、当時監督だった原辰徳氏はマイコラスの非凡な才能を見抜いていました。
波に乗れないマイコラスに原監督はこんな言葉をかけたそうです。
マイコラスはマイコラスで良いんだぞ
後にマイコラスは
あの言葉で何か救われた気持ちになった
と振り返っていたそうです。
あの衝撃は忘れない。2015年5月28日 サクセスストーリーはここから始まった!
それは今からちょうど三年前。
埼玉西武ライオンズとの交流戦が、マイコラスのサクセスストーリーの始まりでした。
僕にとってもこの日に現地観戦できたことは、今では忘れられない素晴らしい思い出です。
試合前は正直言って全然期待してませんでした(^^;
この日は外野席の応援団近くで観戦していたんですが、先発をコールされた瞬間の反応も微妙でした。
これが、菅野や杉内のようなエース格なら名前をコールされただけで大盛り上がりです。
違いは歴然でした。
ライオンズの先発西口投手がコールさらたときの方がざわめいたくらいです(^^;
ただそれもしかたありません。
防御率4点台でここまで勝ち星なしの0勝2敗。
しかも相手は強力打線の埼玉西武ライオンズ。
万が一捨て試合になった場合の楽しみ方はこちらから(^^;
始まる前は、負ける要素でいっぱいだと思ってました。
ところが、試合が始まると・・・
僕はこれまでなんの興味も抱かなかったこの助っ人投手の投球に魅了されました。
秋山、栗山、浅村、おかわり君・・・と続く強力打線がみんな完全に振り遅れてる。
ほとんど外野にすら運ばせない圧巻のピッチングを繰り広げたのです!
マウンドに仁王立ちするマイコラスの体がやけに大きく見えたのを覚えています。
スタイルも良くて、まるでダビデ像がボールを投げてるようなイメージでした(笑)
回を増すごとにマイコラスへの声援が大きくなっていきました。
気が付けば快投が続き、終わってみれば8回無失点10奪三振と圧巻のピッチングを披露。
この日彼は待望の来日初勝利をあげたのです!
大歓声に包まれる中でのヒーローインタビュー
ヒーロインタビューで彼の顔を初めてちゃんとみたんですが、
後に話題になる奥さんも物凄く綺麗な方でした。
こうして世間より一足早く彼の凄さに触れられたわけですが、この時はまだちょっと半信半疑でした。
その疑問は数か月後に解けました。
その時感じた彼の凄さは本物だったのです!
そこから波に乗ったマイコラスは破竹の連勝を続けました。
積み上げた勝利数は13
負けはたった3つのみです。
21先発・13勝3敗4完投2完封
145回と投球回こそ規定ギリギリながら防御率は驚異の1.92という好成績を残しました。
特に素晴らしいのは貯金を作れることと、四死球が非常に少ない事です。
無駄なランナーを出さないため、数本ヒットが出ても簡単に失点しないのです。
安定した投球内容で10の貯金を積み上げ、最高勝率のタイトルを獲得しました。
かくして投げれば負けないスーパーエースが誕生したのです。
年棒が3倍になるも、怪我に泣いた2016シーズン
前年がお試しの1年契約だったため、シーズンオフに年棒が大きく跳ね上がりました。
新たに推定年棒2億4千万円の2年契約を結んだマイコラス。
初年度がおよそ8千万円だったので、一気に年棒3倍です!
アメリカンドリームならぬジャパニーズドリーム!
しがないサラリーマンの僕からしたら羨ましい限りです(^^;
同じく素晴らしい活躍をみせたアーロン・ポレダ投手も1億円アップの推定1億6千万円まで跳ね上がりました。
それもそのはず、巨人の先発ローテーションにおいて、彼ら2人は最早かかせない戦力だったからです。
長年チームを支えてきた内海哲也は安定せず、杉内俊哉は長期離脱が決定的でした。
そうなると計算できる先発が菅野智之のみになってしまうからです。
この年は、菅野、マイコラス、ポレダの3本柱になる。
はずだったんですが・・・
ポレダはフォームを崩して途中で行方不明。たったの1勝に終わります。
明るいポレダさんから笑顔が消えていくのは観ていて辛かったです(+_+)
そして肝心のマイコラスですが、怪我に泣かされたったの4勝でシーズンを終えてしまいます。
防御率は2.45と安定していましたが、登板数、勝ち星ともに伸ばすことはできませんでした。
14先発・4勝2敗1完投
投球回数も91.2回と前年より大きく数字を落とす結果となりました。
ただ注目すべきはきっちり貯金を作っているところです。
勝てる投手というのは貯金が作れる投手のことを言います。
ここが単なるローテーション投手とエース級の最大の違いだと思います。
打線が史上最低打線と揶揄されていた昨今の巨人で、コンスタントに貯金を作るのは至難のわざだと思います(言ってて悲しいけど( ;∀;))
現NPB最強投手の菅野が26先発183回も投げて9勝6敗です。
しかも防御率は驚異の2.01で( ゚Д゚)
そう考えると妥当な数字にみえてくると思いませんか?
年棒が上がって複数年契約だからサボりだなんて批判も耳にしました。
ただ僕にはそうは思えなかった。
故障部位が右肩だったことを考えれば仕方がなかったのではないかと思います。
むしろ復帰後は良く投げてくれたとさえ思います。
この年現地観戦した日も、彼は闘志剥き出しで打者に向かっていってました。
何というか彼の投球は魂を揺さぶられる熱さを感じるんです。
それが味方の援護を呼び、結果勝ちが付くのではないかとさえ思います。
手を抜いた投球ができるほど、彼が器用な人間とは思えなかったのです。
魂のこもった139球!日本でのラスト登板
契約最終年となった2017シーズン。
WBCに出場した菅野智之に代わってマイコラスが開幕投手の大役を務めました。
巨人軍で外国人の開幕投手といえば、あの怪童ガルベス依頼となる大役でした。
この年はフル回転し、その力をいかんなく発揮してくれたと思います。
最終成績は、27先発・14勝8敗
188イニングを投げて、187の三振を奪い奪三振王のタイトルを獲得しました。
防御率も菅野に次いで2位の2.25を記録しました。
苦手とするカープにだけは割と打たれてしまいましたが、カープ戦を除けば沢村賞を獲得した菅野を上回る程の成績でした。
熱すぎる彼の闘志は、ときにはベンチで大暴れし、捕手の小林誠司を激しく怒鳴りつけたりもしました。
巨人で唯一無二のその熱さが観るものを惹きつけました。
巨人での最後の登板となった9月27日のドラゴンズ戦は泣きそうになりました。
CS出場を目指し中4日とフル回転する中、9回途中まで139球1失点という魂の投球!
メジャーへの復帰を考えれば、無理をして故障なんてできないはずなのに・・・
こんなに援護がなく、二けた勝てるエース級が3枚もいてAクラス争いをしている情けないチームなのに・・・
昨年彼をサボりだなんて言った人は、彼の投球を生で観たことがあったんでしょうか?
ストレートの切れ、カーブのブレーキ、精密なコントロール、技術的にも素晴らしいことは間違いないと思います。
それでも彼の最大の武器はその熱いハートだと僕は思います。
素晴らしい投球をしながらも報われないことが多い菅野にも感情移入することは多いです。
しかし、揺さぶられる感情の幅がマイコラスと比べるとどうにも弱い(+_+)
こればかりは何でかはわからないけど、決定的な何かが違います。
『技術的には彼以上かもしれない菅野智之に足りない何かを持った投手』
それがマイルズ・マイコラスなのです。
たとえカープに滅多打ちにされても、菅野の方が成績が上だったとしても、僕にとってのエースはマイルズ・マイコラスでした。
そして2018シーズン もうマイコラスは巨人にはいない
シーズン開幕前、マイコラスの穴は山口俊と野上亮磨で埋まるという意見を耳にしました。
これに関しての僕の考えは一貫しています。
彼らはどんなに上出来でも10勝10敗の投手です。
いや、それも苦しいレベルか・・・
エース級の穴を埋められるのはエース級のみ。
全盛期の上原浩治や杉内俊哉のような投手でないとハッキリ言って絶対無理です。
ローテを守るのがやっとの投手を枚数だけ揃えても埋まらない。
単純に足し算で埋まるものではないと僕は思います。
田口麗斗の更なる覚醒に期待したかったのですが、現状彼は苦しんでいます。
このあたりの考えに関しては、開幕前にこちらの記事でも触れました。
5月28日現在4連敗していて交流戦を迎えますが、6回もつかわからない先発ばかりでは厳しいと言わざるを得ません。
マイコラスと入れ替わりで39番を背負ったヤングマン投手を使いたいところですが・・・
枠がない( ;∀;)
メジャー復帰後快投を続けるマイルズ・マイコラス!
メジャーリーグに目を向けると、マイコラス投手は日に日に存在価値を高めています。
ここまで7戦に先発して負けなしの6勝!
直近の登板では完封勝利を飾っています。
成績的にも日本で投げていたときとそれほど見劣りしないから驚きです。
奪三振も取れてますし、防御率も2点台前半とはおみそれしました( ゚Д゚)
アメリカでも大谷翔平選手の陰に隠れて、掘り出し物と話題になり始めています。
彼の投げている試合をテレビ観戦しましたが、驚いたことに日本にいたときよりも球速が増していました。
身体もひと周りは大きくなっていて、髭もワイルドで別人かと思いました。
目指せサイヤング賞&メジャー最多勝!
怪物揃いのアメリカでそう簡単にはいかないのはわかっています。
対策もされるだろうし、疲れでパフォーマンスが落ちるかもしれません。
ただ、現状目指せる成績なのは確かだと思います。
日本で成長のきっかけを掴んだ投手が、サイヤング賞を獲得できたら熱くないですか?
流石にサイヤング賞はと思うかもしれませんが、打線の援護次第で最多勝獲得の可能性は大いにあると思います。
イチロー選手が今シーズンはプレーしないことが確定し、ダルビッシュ有投手も再びDL入りしてしまったメジャーリーグ。
大谷翔平選手をチェックする際には、併せてマイコラス投手の成績をチェックすると楽しみが増えるのではないでしょうか(^^)
元巨人【マイルズ・マイコラス】の思い出!目指せサイヤング&メジャー最多勝! おわりに
マイルズ・マイコラス投手の日本での通算成績は、3年間で62登板31勝13敗防御率2.18でした。
在籍三年間で、最優秀賞率と奪三振王のタイトルも獲得しました。
その他の指標も軒並み上位で本当に優秀な先発投手でした。
最後には小林誠司捕手とも素晴らしい関係が築けていたようで、日本を離れる際には感謝の言葉を贈っていました。
打線がしょぼくなければ勝ち星はもっと伸ばしていたことでしょう(^^;
今巨人の先発は非常にヤバいです。
一昨日は田口麗斗が、昨日も野上亮磨がボコボコにされました(+_+)
マイコラスさえいてくれたら・・・
傲慢に聞こえますが、選手を雇うか出すかの選択権はたいがい巨人が有しています。
巨人が必要とすれば契約、要らないといえばそこでハイサヨナラになります。
しかし、マイコラス投手の場合は、巨人が契約延長を望んでいたにも関わらず契約延長できなかった稀な例でした。
それだけ彼は特別なレベルの選手へと成長したと言うことではないでしょうか?
最初の衝撃からちょうど3年の月日が流れたタイミングで、ノスタルジーにふけってこの記事を書きました。
この記事を読んでくれたあなたが何かを感じてくれたら嬉しく思います。
以上、筆者のただの回想でした(._.)
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