FA権を行使した選手が、他球団に移籍することで発生する補償。
その補償方法の1つとして、人的補償というものがあります。
この記事では、複数球団から人的補償を求められた場合の優先順位について解説したいと思います。
また、プロ野球のFA移籍の補償制度について、丸佳浩選手を例にわかりやすくお伝えできればと思います。
もくじ
人的補償についてわかりやすく解説します!
まずはじめに、そもそも人的補償とは何なのでしょうか?
本題に入る前に、かいつまんで説明していこうと思います。
FA権を持つ選手が移籍する際、前所属球団が移籍先の球団に対して求めます。
補償内容は2種類あって、どちらを選ぶのかは該当選手の前所属球団に権利があります。
主力選手を失う側への補償というわけですね。
わかりやすく丸佳浩選手の場合を例にすると、
- 補償を求める前所属球団とは広島カープ
- 補償に応じる移籍先の球団とは巨人ということなります。
補償の仕方は2種類
補償の仕方は、金銭補償のみによる方法と、金銭+人的補償を求める場合との2種類があります。
金銭補償のみの場合は、移籍する選手の旧年俸の80%(Aクラス)ないし60%(Bクラス)が移籍先の球団から前所属球団へ支払われます。
対して、人的補償を求める場合ですが、選手1人+旧年俸の50%の金銭(Aクラス)ないし選手1人+旧年俸の40%の金銭(Bクラス)を移籍先球団より前所属球団へ補償しなくてはなりません。
丸佳浩選手の場合で考えると、丸選手の推定年棒は2億1千万円とのこと。
詳細はわかりませんが、おそらく丸選手はAクラスに該当するであろうと予想します。
この仮定をもとに丸選手の補償を具体化してみると、
もし仮に、広島カープが補償として金銭のみを求めるのであれば、巨人は1億6800万円を補償としてカープに支払うことになります。
『金銭選手』とは、金銭のみが補償となった場合の俗語ということですね(^^;
同じように、金銭+人的補償を求められた場合だと、選手1人と1億500万円がカープへの補償ということになるわけです。
差額となる6300万円より、補償として指名できる選手の方がメリットが大きいと考えた場合、カープは人的補償を求めるだろうと予想できるわけです。
補償として指名できない選手を明示するのがプロテクトリスト!
前所属球団が人的補償として指名できる選手は、もちろん誰でもいいというわけではありません。
移籍先の球団は、人的補償として指名不可能な選手を28人守ることができます。
これが、よく話題となるプロテクトリストです。
巨人のプロテクトリストを予想した記事はこちらから
⇒原巨人のプロテクトリストを予想!2018年FA交渉解禁直前編
それから実は、プロテクトリストには含まれなくても、指名することのできない例外も存在します。
それは、
- 外国人選手
- 直前のドラフトで入団した選手
になります。
直前のドラフトで入団した選手とは、丸佳浩選手の場合だと、2018年のドラフトで指名を受け巨人に入団した選手のことを指します。
具体的には、高橋優貴投手以下数名の選手になります。
⇒巨人|高橋優貴は貴重な左の本格派!ドラ1パワー投手に期待したい役割
⇒巨人|増田陸を2位指名!根尾と小園を数年後伸びしろで上回るか?
選手のクラスとは?
補償の仕方のところで出てきた選手のクラスですが、FA移籍する選手が前所属球団から得ていた年棒によって分別されます。
前所属球団において、
- 年棒の額が上位1位から3位までをAクラス。
- 4位から10位までがBクラスになります。
FAで移籍する選手の年棒が、これまでの所属球団の上位10人、つまりAクラスないしBクラスに入る場合にのみ補償が発生するのです。
11位からの選手はCクラスに該当し、なんと補償が必要ありません。
2016年オフに、巨人がFA選手を3人同時に獲得して話題になったことがありました。
これは、森福投手の年棒が1億2千万円(推定)であったにも関わらず、Cクラスだったことが実現した要因にあります。
この年棒で10位以内に入っていなかった訳ですから、ソフトバンクの選手の年棒がいかに高水準なのか物語っているように思います。
1つの球団がA,Bクラスの選手を獲得できるのは年に2人までです。
同じ年に20人も30人もFA権を行使した場合は上限人数が増えるようなのですが、あまり現実的とはいえないと思います(^^;
1つの球団がBクラス以上の選手を同年に2人獲得した場合に問題となる
ここまできてやっと本題(^^;
1つの球団が、補償の必要なFA選手を同年に2人獲得した場合にのみこの問題が発生します。
1つの球団といっても、だいたいは巨人なんですけどね(^^;
2018シーズンのオフ、巨人は炭谷銀仁朗と丸佳浩という補償を必要とする選手を2人獲得しました。
この場合、西武ライオンズと広島カープの両方から人的補償を求められる可能性があるわけです。
普通に考えたら、炭谷選手の方が先に移籍が決まったわけですから、西武ライオンズが優先でしょうと思うかもしれません。
ところが、今回の場合だと補償選手の優先権は広島カープにあります。
- 丸佳浩選手の方が年棒が高額だったから?
- クラスが高い選手優先?
いいえ、どちらも不正解です。
移籍先球団と同一連盟内、つまり同じセントラルリーグの球団である広島カープが優先されるのです。
ではもし仮に、補償を求めるのが同じセントラルリーグの広島カープとヤクルトスワローズであったならどうなるのでしょうか?
この場合は、同年度の勝率の低い球団が優先されるため、ヤクルトスワローズが優先ということになります。
次でまとめます。
人的補償の優先順位は同一リーグかつ、同年の勝率が低い(順位が下)球団が優先されます!
なおそれぞれのチームに提出するプロテクト名簿は中身は別でも問題ないそうです。
相手チームのウィークポイントや、補強の優先度などを考えて、プロテクトする選手が多少変わるということもあるのかもしれません。
いずれにせよ、プロテクト当落線上の選手はドキドキでしょうね。
万が一、人的補償として指名されて、その指名を拒絶した場合、失格選手となりプロ野球選手としての出場資格を停止させられてしまうのです(T_T)
サラリーマンの移動命令のように拒否権などないのです。
新球団に移籍した方が幸せな場合だってあるとは思いますが、自分の意思で球団を選べないわけですから運命を変える瞬間でもあるわけです。
29番目の選手として見初められるというのはある意味光栄なことではありますが、いざ指名の可能性があると考えると気が気ではないように思います。
最後までお読みいただきありあがとうございました(._.)
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