映画【億男】を鑑賞してまいりました。
私、川村元気さんの作品がどれも好きでして、この【億男】も原作を3度読んでおります。
ホントはもう少し早く映画館に足を運ぶはずだったのですが、気が付けば公開から1ヶ月も経過してしまってたんですね(^^;
実はこの【億男】、私がブログを始めた初期に紹介した思い出の作品でもあるんです。
こりゃ、なんとかして公開終了までに観て感想を書かねば!
というわけで、ようやく映画【億男】を鑑賞しましたので、率直な感想を述べていきたいと思います。
もくじ
辛口?思っていたイメージとは異なる仕上がりでした
鑑賞を終えた率直な感想は、正直う~ん(^^;と言った感じでした。
監督以下、出演者はみな豪華で、演技派揃いだっただけに期待値が高すぎたのかな(^^;
以下、具体的に感想を述べていきたいと思います。
登場人物に関してはこちらから
⇒【億男】5分で読める原作登場人物まとめ!映画を観る前に必見です!
登場人物の掘り下げがイマイチ
1時間56分という上映時間を考えれば致し方ないとは思うのですが、それぞれの人物の掘り下げがイマイチかと・・・
具体的には、億万長者となりながら、それぞれの闇を抱える十和子(沢尻エリカ)、百瀬(北村一輝)、千住(藤原竜也)に関して、もっとそれぞれの抱える虚しさ、苦悩、後悔、罪意識など、もう少し背景をしっかり描いた方が良かったように思います。
大事なもの(4人で起業した会社)と引き換えに得た大金が、彼らのその後をどのように変えてしまったのか?
この作品の肝でもあっただっただけに残念でなりません。
「あきら」という人物の必要性
あきら(池田エライザ)というオリジナルのキャラは正直不要だと思いました。
彼女が出てくる尺があるなら、前述した3人をもっと掘り下げて欲しかった(-_-;)
これは、池田エライザさんの演技がどうとかいうより、物語上あきらという人物そのものが必要なかったように思うのです。
九十九を調べれば、どのみち3人のうちの誰かには辿り着きますもの(笑)
今に思えば、九十九が百瀬と繋げるために、意図的に一男と近づけた人物だったのかな(^^;
3人の億万長者と会う順番が異なる!
あきらとの繋がりもあり、原作とは会いに行く順番も違っていました。
原作だと、十和子、百瀬、千住の順だったのが、映画では、百瀬、千住、十和子の順になっていました。
原作では、3人の起業仲間と一男を、意図して引き合わせていたと読み取れる九十九。
九十九は3人に、近いうち一男が訪ねて行くことを伝えていたのだと思います。
一番最初に辿り着くであろう十和子に、百瀬と千住の連絡先を伝えるよう促したのもおそらく九十九だったのでしょう。
一男を3人の億万長者と会わせ、彼にお金とは何なのかを考えさせるのが目的だったのだと思います。
また、それと同時に、残り1%まで迫った自身のお金に対する答えを得るために・・・
映画では、このあたりの描写がぼやけていて、3人から得られるお金についてのメッセージ性も乏しいように思いました。
原作と比べて億万長者とのやりとりがメッセージ性に乏しい
百瀬のパートはまあいいとして、千住のパートはザ・藤原竜也劇場でした(笑)
藤原竜也さんという素晴らしい俳優をここで起用したのだから、千住の背負う罪について、もっと掘り下げればいいのにとみていてガッカリしてしまいした。
映画での千住は、会社を売ることにノリノリで、九十九の親友設定もカット・・・
冒頭含め、ここでもやたらと札束が舞う演出が多くて、少し食傷気味になりました(-_-;)
原作の百瀬(北村一輝)は、豪快でお金はあるものの、どこか虚しさを抱えた切れ者というイメージでした。
活字で読むと、百瀬の語るお金についてはなるほどと思うことが多く、まだの方は是非原作を読んでみることをおすすめいたします。
北村一輝さんの演じる百瀬は、外見の作り込みも凝っていてこの映画の見所の1つだとは思います(笑)
最初から得ても失ってもいなかったお金に対して揺れ動く心理描写。
このあたりは、お金と幸せの答えの核心にだいぶ近づいているように思います。
なお、一男をリムジンで家まで送ってくれるという流れはなしでした(^^;
原作では旦那も登場し、夫婦の秘密(旦那は十和子の持つ札束に気が付いているが知らんふりをしている)も語られた十和子(沢尻エリカ)のパート。
十和子がお金を忌み嫌いながらも、安心の為身近に置く理由が丁寧に語られていましたが、そちらもカット・・・
- あんなに派手に壁を剥がしてしまったら、旦那が帰ってくるまでに元に戻すの無理じゃね(^^;
- 沢尻さんスタイルいいな(^^)
十和子に会っている最中はモロッコ旅行の回想が大半を占めるため、これくらいしか感想がありません。
一男と万左子の素敵な馴れ初めも端折られる
図書館司書の一男と妻、万左子との馴れ初め。
残念ながら、こちらもチラッとそれらしいのが映るくらいで、詳しい説明はありません。
とても素敵な馴れ初めなのできちんと描いて欲しかったのですが・・・
簡単に書いておくと、
- 週に1回必ずジャンルバラバラな本を借りていく万左子
- 万左子は本を通して大事な何かを探そうとしていた
- 万左子の借りていく本に興味を持った一男
- 一男が万左子に合う本を探しておくと申し出る
- 半年の間、一男の選んだ本を毎週万左子が借りていく日々が続く
- ある日、万左子はもう本を探してもらう必要が無くなったと一男に告げる
- もうやりとりができなくなるのかと寂しがる一男
- 万左子は、一男にあなたという大切な人がみつかったから・・・と話す
ね、これだけで一つの物語に出来そうなくらい素敵な話でしょ(^^)
お金と幸せの答え(私の場合)
この記事を書いている私の答えは、
「お金が目的になったらそれは幸せではない」
お金は幸せのために使う、ツールにすぎないのだと解釈しました。
目的ではなく手段の1つとでも捉えればいいのかな(^^;
とはいえ、生活していくためにはお金はある程度必要なので、難しい問題ではあるんですけどね。
『借金を返して家族と一緒に暮らす』これ以降のビジョンがない一男
3000万円さえ返済できれば、妻子との仲が元通りになると信じていた一男。
しかし、妻である万左子の考えは違っていました。
お金に囚われてしまった一男には、借金を返して家族と一緒に暮らすということしか目的がありません。
その後のビジョンがないのです。
そんな一男に、万知子は別れをきりだすのです。
離婚届けに判を押し、娘に自転車を贈ったところで物語は終わります。
自分の抱えていた問題の本質がお金で解決できないものだと気が付いた一男。
一男にとって、全てを解決してくれると信じていた3億円が輝きを失ってしまいます。
物語本編後の一男に救いはあるのか?
明確な答えは示されないまま物語はここで終了です。
フィナーレは概ね原作と一緒かと思います。
この作品は、川村元気先生から読者へ、お金と幸せの答えを考える機会を促すメッセージなのでしょう。
映画【億男】レビュー!お金と幸せの答えを見つける旅(ネタバレあり)おわりに
作中多めに尺を使ったモロッコ旅行のパートでも、陶器屋さんが絡む原作の話の方が正直良かったように思いました。
そういえば、ザッカーバーグ(一男の飼い猫)も登場しなかったなぁ(^^;
冒頭から札束を降らせるシーンがやたらと長く、途中の千住パートでもやるものだから謎のバブリー感が独り歩きしてしまった印象。
この時点で、私のイメージした億男とはメッセージ性がかなり異なる(-_-)
原作を読み込んでいなければあるいは評価も変わったのかもしれませんが、残念ながら映画億男は私にとってはやや期待外れという結果に終わってしまいました。
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